老後2000万円と子供の学費が大変なのでオタクをやめます

この記事は地下アイドル Advent Calendar 2019の12月18日の記事となっています。

 

730万円。

彼の年収である。

手取りは550万円。

毎月30万円と、ボーナスが夏と冬で190万円程度。

毎月30万円は、15万円がローン、修繕積立金、管理費に消え、残り15万円を妻の口座に生活費と子供の塾代として振り込んでいる。

つまり、それ以外の出費、家族での食事、旅行、書籍漫画購入、医療費、家具、被服費、日々のちょっとした買い物、小遣いは、ボーナス190万円を溶かしながら生きていかなければならない。

ここで一つ問題がある。

彼は、月に10万円近くを費やす地下アイドルのオタクだったのです(奥さまは魔女だったのです風に)。

 

彼が上記の事実(ボーナスを溶かして現場に通っている)に気づいたのはとある飲み会で若いオタクに言われた言葉がきっかけである。

 

「嫁さん専業主婦でそんなに現場行ってよくやってけてるね」

 

うん、我ながらよくやってけてるね、彼は自分でもそう思い、それまで漫然と家計簿アプリに入力していたアイドル関連の支出をスプレッドシートにまとめることにした。そもそも家計簿アプリは月末になると怖くなって入力が止まってしまうという致命的な欠陥がある(アプリの欠陥ではなく彼の欠陥なのだが、人間の非合理性に気づいていないという点においてアプリの欠陥と言って差し支えないだろう)。その点、スプレッドシートなら何に使っているのか一目瞭然である。そして、

 

おう…

 

スプレッドシートを見直して彼は気づいた。

「月に10万円とか余裕で使ってんじゃん???」

ということで、彼は月の予算を7万円以内に設定した。だが、オタクの予算なんて守られるわけがない。平日と週末に1回ずつに絞っても月に8回、そのうち1回2回は新木場のチケ代5千円クラスのイベント、しかも彼の主現場はツーショが2千円、そしてもう一つの主現場である大阪のグループが東京に来た時にはメンバーの一人にチェキループするので、7万円のラインは余裕で突破されてしまう。

 

そんな日々の中、彼はある事実に気づいた。

「銀行の残高が(パン!)おかしい!」

毎月残高が一定でなければならないはずが、少しずつ減っているように見受けられるのだ。

 

さてここで、チュートリアル徳井というお笑い芸人に話題を変えてみよう。

徳井の行状が知られるにつれ、一部のTwitter民たちの間で

「わかるわ~」

という感想が野火のように広がった。今回話題にしている彼も、そっち側の人間であった。徳井事件の前から「俺ってもしかしたら軽度のADHDなのかもしれない」などと言っていた彼、会社で提出しなければならない書類は出さない(締め切りは過ぎてからが本番、が口癖)、住宅ローン組むときはスケジュール綱渡り(火災保険の証書が必要なのをギリギリまで認識していなくて会社抜け出して近くの代理点に契約しに行ったり)、クレジットカードの口座引落申込書は出さない、銀行のハンコは6つあってどれがどこのが分からない、引っ越したのに友達誰にも連絡せずに年賀状がついに届かなくなる、など、枚挙にいとまがない。

そして彼は自分のことをこう称するようになった

「俺は徳井ビリティが高い」

 

その徳井ビリティの高さを満遍なく発揮した結果、彼は複数年にわたり自分の収支を把握していなかったのだった。

 

もう一度整理しよう。

・毎月の手取りは全て自動的に消える。

・残りはボーナス年間190万円

・190万円を、貯金(老後2千万円)、貯金(子供の将来の学費)、その他の支出、アイドル活動費、に割り振る

・アイドル活動費が月に7万円だとすると、年間84万円、すると、106万円を貯金(老後2千万円)、貯金(子供の将来の学費)、その他の支出に割り振る。うん、ちょっと足りないね。

・アイドル活動費を月に3万円だとすると、年間36万円、すると、154万円を貯金(老後2千万円)、貯金(子供の将来の学費)、その他の支出、に割り振る。うん、これでも不安だけど、これで行くしかないよね

 

ということで、僕の2020年からは月の活動費が3万円になりました。

いや、僕じゃなくて彼だった。架空の話なので。

 

最後に

彼の妻は専業主婦だけど、とくに働いてもらおうとは思っていない様子。

だって、共働きだったら逆に現場に自由に行けなくなるじゃん?