琥珀かりん(Pety)、あるいは、君のこと可愛いって言ったけれども誰にでも言っていたよ

地下アイドル Advent Calendar 2023 - Adventar 12月2日の投稿記事です。

 

「去年も今年も私だけ生誕でメセカがなかった」
頬を膨らませて君はうんざりしたような笑顔を浮かべて、言った。
「かりんのオタク仲悪いからね」
そう返した僕に、君はなんと答えたのだったか。
肯定だったろうか、否定だったろうか。

 

それから数ヶ月後、2023年9月17日のPety2周年単独公演を前にして君は手紙が欲しい、とにかく手紙が欲しい、絶対に手紙を書いてほしい、とtwitter等で強めに意見表明をしていた。
僕や他のオタクたちはそれに対して、もしかして単独公演でPetyをやめてしまうのではないか、やめる発表をするのではないか、と危惧していたのだが、少なくとも僕に関しては冒頭のような会話をしたこともあって、過去にメセカがなかったから今回は絶対に手紙を書いてくれよお前ら頼むよ絶対に、という意味だろうなととらえていた。
単独公演前日から当日にかけて、僕はGoogle Keepに手紙を下書きしていた。
手紙や文章などあるあるだが、書き始めると意外に長くなる。
僕は8月末に初めてコロナに感染して家庭内感染で家族にうつしてしまい、それからまだほとぼりが冷めていない、復帰後初の現場だったので、前物販とライブだけ参加して帰るつもりだった。下書きのまま前物販を迎える。
「(スマホを見せながら)下書きでーす。紙に書いてません。残念。書き終わったら渡すね」
「今日書いて!」
「便箋ないし」
「今日書いて!」
「書くものないし」
「なんでもいいよ!」
「レシートの裏に書くかな~」
「それでもいいから書いて!今日ちょうだい!」
君の迫力に気おされた僕は、ちゃんと手紙を書いていたオタクから余ったレターセットをもらってボールペンを借りて、アプリの下書きから加筆修正しながら当日の会場である下北沢Eraの入口の地べたに座って書いた(ありがとうねりょうたろう)。
今考えれば、君のことを考えながらちゃんとレターセットを自分で選べばよかったね。過去には銀座の伊東屋本店で1時間かけてお別れのレターセットを選んだということも僕にもあったのだ。
(2023年1月28日にはPetyから神矢すいというメンバーも卒業している。小河ぐみが不在の間に僕のメンタルを支えてくれたという意味で彼女には多大な感謝をしており、本来はこのように、当時のフレッシュな感情が残っているうちにウェブログを書くべきだったと非常に後悔している)
手紙を撮影するのを忘れて内容は大まかにしか覚えていないが、以下のようなことだったはず。
・かりんと初めて話した日のことはよく覚えている
・Petyポンコツ列伝
・実はチェキをとった「日数」で言えば推しメンの小河ぐみよりも多いかもしれない
・順番としては必ず小河ぐみの次にチェキをとっている、必ず毎回とっているので、所謂2推しかもしれないね~
かりんから手紙の感想を聞いたりはしなかったが、「日数」に関してはそうかも!というような話をした。

 

とは言え、その後も君の卒業/脱退を匂わせるような出来事はあった。

・Pety新メンバーの募集が始まったこと
・新メンバー募集のツイートに対して、その夜のうちに琥珀かりんだけが引用リツイートをしなかったこと
以上二点だけで僕は君の卒業を確信してしまい、その晩は眠れなくて2時まで泣いていたよ。そしてPety関係ない昔からのオタク友達にDMで吐き出したりしていた。
結果的にその予想は当たってしまったわけだが、君は隠し続けてやめないよアピールをしていた。偉い。
「さようなら」
「やめないよ」
「やめるんでしょ」
「やめないよ」
「かりんだけツイートしてなかったじゃん」
「あの日は友達と飲んで酔っぱらってタイミング逃してどうしよう~って思ってたら翌日になった」
「やめるんだね、さようなら」
「やめないよ」
などという会話を何度かしていた。
友達と飲んで酔っ払っていた、ということ以外はポンコツ琥珀かりんだったらありうるよな、と思い、それを信じた、というか、縋ってしまったといってもいいかもしれない。虚偽だったわけだけれども、優しいウソというか、職務上やむを得ない嘘というか、取引先に対しては隠し通すしかないよなというか、まあ、仕方ないとしか言いようがない。
僕たち(アイドルオタク)は、ささやかな現実と大きな虚構のバランスの上に立って遊んでいる。改めてそれを思い起こさせてくれる出来事だった。

 

そして君は10月31日に攻めてないハロウィン衣装(えっちではないウサギ衣装)を着てライブをしたのを最後に僕たちの前から姿を消した。
脱退が発表された11月1日の夜は僕はひたすら泣いていた。発表の20分前に納品されたマルシェを見て泣いていた。家族の前でもひたすらスマホをいじりながら泣いていたので、きっと不倫相手からお別れでも言われたのだろうと思われたに違いない、それくらい泣いていた。家族が寝た後は声まで上げて泣いていたのは今になって思うと本当になんなんだ、笑ってしまうというか同情してしまうというか、推しメンでもないのにおじさんがそんなに泣くんじゃあないよ、という声しかかけられない。それから3週間くらいは睡眠時間も減り酒量も増えた。オタクと飲んでいるときに突然泣き出すなどの奇行もあった。結局体調を大幅に崩して酒はやめたが。酒はクソ。睡眠不足は今も続いている。
マルシェは今も時折見返しては泣いたりしているよ。泣かない時もある。

 

振り返っても本当に琥珀かりんとは内容のない話しかしなかったし、#かりんちゃんえらいね が公式のハッシュタグなのに僕は #サイコパス赤ちゃんかりんちゃん #単位を落とすな琥珀かりん など、しょうもないハッシュタグしか使わなかったし(本人の話を聞いていれば分かるが大学生であることは公式には表には出していなかったので単位を落とすなのハッシュタグは封印した)、 #至高の琥珀かりん などと、君の足元だけの写真を毎回ライブのあとにツイートしていたし、並行物販で話しているときに他のアイドルのフリコピをするし、列挙していたらなんとなく申し訳ない気になってきた。すまん。
それでも手紙に書いた通り常に僕は常に君のことを気にしていたのだった。まあ、好きだった可能性もあるね。

最後の日はチェキを1枚しかとらなかったが、その日も結局単位を落とすな大学はちゃんと卒業しろ僕のGPAは2を切っていたがちゃんと卒業したぞ、という話をした。人生の先輩(GPA2以下)からの最後のアドバイスだった。
貴重なアドバイスなので役立ててほしい。
あと、ちゃんと寝ろ。午後に起きるな。午前中に起きろ。

 

本エントリのタイトルとして「複雑にしてたのは琥珀かりんだったね」というのを用意していたのだが、それはやめた。Petyの曲「ドラマチック」で琥珀かりんが「複雑にしてたのは僕の方だったね」と歌うパートがあり、僕だけがそれに合わせて「複雑にしてたのは琥珀かりんだったね」と叫んでいた。

www.youtube.comおかげでそこは謎に泣きパートになってしまった。
事態を複雑にしていたのは本当に君だったよ、琥珀かりん。
いつかどこかで会いたい気持ちはあるが、君のようにポンコツで優しい女の子はPcycleのようにアイドルにやさしい(おそらく)事務所でないとやっていけない気がする。他のブラックな事務所ではすぐにつぶされそうだし。
無理せず健康に過ごしてほしい。


琥珀かりん年表
2021年9月12日 下北沢ERAにてPetyのメンバーしてデビュー
2021年12月6日 渋谷サイクロンにて初めて僕に見られる
2022年1月5日 寝坊してライブを飛ばす(特典会には参加)
2022年4月16日 琥珀かりん生誕祭
2022年7月17日 お台場アイドル博ライブで初めて僕とチェキをとる
2022年8月10日 人生で初めて浴衣を着る(沖縄出身なので)
2022年10月~12月 山本キヨカワ卒業に際してERAに爆破予告して卒業阻止するなどの発言をする
2023年4月1日 琥珀かりん生誕祭
2023年5月6日 フレッシュフェス2023において初めて水着(攻めてない)になる
2023年10月31日 アルタキースタジオにて最後のステージ
2023年11月1日 脱退

 

琥珀かりんメインだった曲「ひとりよがりマイヘアー」
本エントリーの元ネタの「可愛いねって言ったじゃん 誰にでも言うんでしょ」というフレーズがある。

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